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「シモンは、『先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした』と答えた」13。もっともな言葉だと思われます。普通は夜中に漁をしました。ところがその晩に限って、骨折り損だったのです。それなのに、昼間に漁をせよとおっしゃるのですか。しかし、ペトロは信じます、「お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」14。キリストの命令通りに実行しようと決心します。主のお言葉に信頼して働く約束をしました。すると、何が起こりましたか。「そのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった」15。

弟子たちを伴って海に出たとき、イエスはこの漁だけをご覧になっていたのではありません。それゆえ、ペトロが足下に平伏し、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです」と謙遜に告白すると、「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる」16とお答えになりました。新たに始める漁においても、神の働きの効果が損なわれることはないでしょう。そして、哀れな存在であるとは言え、使徒たちは神の偉大なわざの道具となるのです。

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