53

聖ヨセフの生活の特徴である自然で素朴な態度については、別の機会に何度も話しましたが、もう一度強調したいと思います。聖ヨセフは、自ら隣人から離れたり、隣人との間に不必要な壁を作ったりはしなかったのです。

 カトリック労働者とか、カトリック技術者とか、カトリック医師などの名称を耳にすることがありますが、時に便利な言葉であるとは言え、あまり感心はできません。あたかも人を差別し、分類しているようであり、また、信者が人々から離れて小さなグループを形成し、その結果、信者とそれ以外の人々との間に溝があるような印象を与えるからです。この考え方に反対の意見も尊重したいと思いますが、カトリック信者である労働者、あるいは労働者であるカトリック信者、カトリック信者である技師、技師であるカトリック信者と呼ぶ方がより適切だと考えています。なぜなら、知的職業や技術的な職業、手仕事にそれぞれ従事する、信仰を有する人たちは、ほかの人々と同じ権利と義務、同じ改善への望みをもち、共通の問題に直面し、その解決を図ろうという熱意において互いに結ばれているからです。

 このようなカトリック信者であれば、日常生活を通して、信仰・希望・愛を証明することができるのです。信者は唯一の神の民が有するすべての権利を持っていますから、信者自身が教会なのです。従って、信仰に一致した日常生活をもって、この世に現存する教会を、ことさら目立つ態度をとらなくても、ごく自然に、人々に示すことができるのです。

この点を別の言語で