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イエス・キリスト、信仰生活の基礎

「イエス・キリストは、きのうも今日も、また永遠に変わることのない方です」9。キリストが現に生きておられることを、いくつかの面から簡単に考えてみました。これこそ信者の生活そのものの基礎をなす真理であるからです。周囲を見回して、人類の歴史の流れを振り返ってみると、進歩や発展のあったことに気が付きます。科学によって人類は自己の能力を最大限に自覚しました。技術によって過去の時代よりもはるかに自然を支配し、さらに高い水準の文化や物質生活、そして平和に達することを夢みるようになりました。

 現在、人々は不正と戦争に苦しんでおり、その苦しみは時には昔よりはるかに大きく、一概に進歩・発展があったとは言い切れまいと言う人もいることでしょう。そう考える根拠もあります。しかし私は、いずれかの考えを選ぶというのではなく、宗教の分野においては、人間は人間、神は神であることに変わりはなかったことを思い起こしていただきたいと思うのです。宗教面では、アルファとオメガ、つまり初めであり、終わりである10キリストにおいて進歩は頂点に達したからです。

 霊的生活においては、これから向かうべき新たな時代など存在しません。死して復活したキリスト、いつまでも生きておられるキリストにおいて、すべては成し遂げられたのです。ただし私たちは、信仰によってキリストに一致し、キリストの生命が私たちの中に現れるよう努めなければなりません。信者は〈もう一人のキリスト〉というより〈同じキリスト〉、〈キリストご自身〉であると言えるようにならなければならないのです。

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