Josemaría Escrivá Obras
聖ホセマリア・エスクリバーの言葉は、そのまま神との語り合い、つまり祈りになります。とは言え、耳を傾ける人々の不安や希望にピッタリと波長の合った親密な語り合いでなくなるわけではありません。これらの説教は、キリストの教えとキリスト教的生活についてのカテケージスであり、神について話すと同時に、神と語り合う言葉です。私たちを捉えて離さぬ力の秘密はきっとこの点にあるのでしょう。「倦まず弛まず神を見つめ」、常に唯一の愛について語っているからです。

 聖ホセマリア・エスクリバーが提示する聖性の道は自由を尊ぶ心で守られています。オプス・デイ創立者はアウグスチヌスの言葉に小躍りしているようです。神は「自らすすんで自由に仕える召使いがよりよい召使いであるとお考えになった」。

今回の説教集は、聖ホセマリア・エスクリバー存命中に発行された説教と、慌てず弛まず働き続けた師が、将来の発行を考えて残した数多くの説教のうち、いくつかを収録しました。  キリスト教的霊性の師の一人に数えられますが、本人はいわゆる<著述家>になろうとは思っていませんでした。師の優しくかつ勇気ある教えは、仕事や家庭や人間関係のなかで、つまり、あらゆるところで実行に移すためのものです。  これら十八の説教は、キリストに付き従わんとする人々に、基本的な自然徳(人間徳)とキリスト教徳の全貌を示してくれます。いずれも学術的な論文でも霊魂の作法書でもなく、体験に基づいた教えであり、神学者の造詣と善き牧者の福音的な教えとが混然とひとつとなっています。