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パン種と練り粉

私たちは主に付き従って、その言葉を広めたいと思っています。しかし人間的に考えれば、こんなに大勢の人のために私たちは一体なんの役に立つのかと、疑問が生じても当然です。地上の全人口と比較すれば、たとえ私たちが何百万人いたとしても、比べものになりません。そこで私たちは、自分自身を、人類全体に仕えるために用意された、いつなんどきでも役に立つ小さなパン種であると考えたいと思います。使徒の言葉にあるように、「わずかなパン種が練り粉全体を膨らませ」6、全体を変える。群衆を良き方向へ向かわせるには、私たちが使徒の言う酵母、パン種にならなければならないのです。

パン種は練り粉よりも勝れているのでしょうか。そんなことはないはずです。しかし、練り粉が膨らんで滋味豊かな食物に変わるためにパン種は欠かせません。

質素な主食であるパンの作り方のあらましを、パン種の効果的な働きを考えながら思い出してみましょう。パン焼きは儀式然と進められ、見ただけでも食欲をそそられそうな美味しくて上等なパンが焼きあげられる。

良質の小麦粉、できればいちばん上等な粉を選ぶ。それから、気長で忍耐のいる仕事が続く。練り箱の中で練り粉をつくり、パン種を混ぜ、その後しばらく寝かせる。これはパン種が練り粉を膨らませるために必要な過程です。

その間に、かまどに火を入れ、薪をくべながら、練り粉を火の中で温めると、柔らかくてふっくらとした上質のパンが焼き上がる。たとえ微々たる量ではあってもパン種が入っていなければ、美味しいパンは焼き上がりません。パン種は他の要素に溶けこんで、人目にはつかないけれども効果的な働きをするのです。

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