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もしも、皆さんが自らの主人として振舞いたいと望むなら、心配や恐れなしに、すべてのものから離脱する強い望みをもってください。そのあとで、様々な個人あるいは家族の義務に留意し、それを果たすために正当な手段を正しく使ってください。おそらくそれと同時に、神と教会への奉仕、専門職、祖国、全人類に対する奉仕という面を考えてくださるようお願いします。実際に<持つ>か<持たない>かは、問題ではありません。大切なことは、この世界のものはあくまでも手段に過ぎないという信仰の真理に則して生きることです。それゆえ、この世のものを目的として、最も大切なものであると考えてはなりません。「地上に富を積んではならない。そこでは、虫が食ったり、さび付いたりするし、また、盗人が忍び込んで盗み出したりする。富は、天に積みなさい。そこでは、虫が食うことも、さび付くこともなく、また、盗人が忍び込むことも盗み出すこともない。あなたの富のあるところに、あなたの心もある」19。

 本当に悲劇的な場面をいくつも見てきました。幸せをこの世のものの中にのみ求めると、往々にして使い方を誤り、創造主が巧みにお定めになった秩序を破壊してしまいます。すると、心は悲しみと不満に閉ざされ、おそらくは、数限りない努力と自己放棄の末に手に入れた富の犠牲となって、不平不満だらけの毎日を送るはめに陥ってしまうでしょう。主は、無秩序で粗野な人、虚しい愛に溺れた者の心には、お住まいにならないことを決して忘れないでください。「だれも、二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなたがたは、神と富とに仕えることはできない」20。「それゆえ、幸せを与える愛にしっかりと心をつなぎとめ、天の宝を望もう」21。

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